会社員のライフプランが、65歳まで働いて、65歳以降は年金収入を柱で暮らす時代から、
70歳まで働いてそれ以降年金収入を柱で暮らす時代へ。
その社会の仕組み作りとなる年金制度の改正内容とは?
年金制度改正法の概要
(1)在職中に受給できる年金の増加
①65歳以上の老齢厚生年金
65歳以降に働いた分が年金額に反映されるのは退職時または70歳到達時でし
たが、年金額が毎年見直されるよう改正されました。納めた保険料が在職中に
年金額に反映されるため、年金を受給しながら働く人は、毎年少しずつ受け取
る年金額が増えていくようになります。これなら働く意欲が増しますね。
②60代前半の特別支給の老齢厚生年金
60歳から64歳時に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢
年金制度については、支給停止とならない範囲が拡大されます。
しかし、この特別支給の老齢厚生年金を受給できるのは、1961(昭和36)年
4月1日以前生まれの男性と1966(昭和41)年4月1日以前生まれの女性に限
られるので、恩恵がある方は非常に限定的ですね。
(2)年金受給開始時期の選択肢の拡大
①繰下げが75歳まで可能に
老齢基礎年金・老齢厚生年金は、65歳より前に受給開始する(繰上げ受給す
る)と年金額は減額され、65歳より後に受給開始する(繰下げ受給する)と
増額されます。
今回の改正により、繰下げ受給は65歳から75歳までの最長10年間可能になり
、ちなみに最長10年繰り下げると0.7%×120ヵ月=84%の増額となり、増額
された年金額を亡くなるまで受け取れることになります。
②繰上げ受給率が0.4%に
繰上げ受給すると1月あたり0.5%減額が、改正により減額率が0.4%となりま
す。最長5年間(60ヵ月)繰上げた場合の減額率は30%から24%に緩和され
ます。
繰下げや繰上げの選択は、単に老後資金の余裕の有無だけでなく、個人の人生
観、価値観、ライフスタイルによりますね。元気なうちに余生を楽しみたい等
人それぞれでしょうから。健康年齢との戦いにもなりますね。
(3)確定拠出年金の加入可能要件の見直し
個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入可能な年齢が現行の60歳未満から65歳
未満に引き上げられます。
ただし、60歳以降でも加入できるのは国民年金の任意加入被保険者(被保険
者期間が40年に満たない人)や厚生年金の被保険者に限定されます。
例えば自営業者・フリーランス、専業主婦で国民年金の被保険者期間が40年
に達している人は加入できません。
上記の年金受給開始時期の改定に合わせて、企業型DC、iDeCoの受給開始時
期も現状の60~70歳から60~75歳に拡大されます。
たとえば50歳過ぎてから、個人型確定拠出年金(iDeCo)というものの存在
を知った方や子供が独立したので貯蓄する余裕ができてきた方でも、加入して
ある程度の老後資金積立が可能となりますね。
老後資金対策として資産運用にばかり目が行きがちですが、最も確実で効果的な対策は長く働くことであり、今回の改正は法律面でそれがバックアップされたものと捉えられます。